Barcelona

 欧州は古くから感染症に悩まされていました。ペストはすでに6世紀から広まっており、14世紀のペスト感染拡大期は、結果的に古いしきたりから人間回帰を促し「ルネサンス」をもたらしたと言われています。19世紀のコレラの大流行は、1853年~70年にいたる「パリ大改造」を行うきっかけとなりました。建て詰まった街区と下水道環境が整わない不衛生な街区は感染症の温床になっていました。パリでは古い建物を解体し、拡幅した街路を通すことで、街に「光と風とオープンスペース」を取り戻そうとしました。このパリ大改造はバルセロナの都市デザインにも大きな影響を与えました。  パリ大改造を主導したオスマンと親交のあったバルセロナの技師セルダは1859年、中庭を有する113.3m×113.3m単位のユニットが街区を構成する碁盤目状の都市デザインを提案し、現在のバルセロナの美しい新市街地の基本単位となっています。バルセロナでは産業革命によって急速に発展した旧街区の環境汚染対策も急務となっており、それを回復させるための都市デザインのキーワードは、やはり「光、風、オープンスペース」だったのです。